阪神電鉄/阪神タイガースのファーム拠点完成、環境に優しい野球文化の発信拠点に

2025年2月21日 行事 [12面]

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 阪神電気鉄道が兵庫県尼崎市で整備を進めてきた阪神タイガース2軍本拠地「ゼロカーボンベースボールパーク」が完成し、20日にオープン式典が開かれた。新たな2軍球場「日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎」や選手寮、室内練習場、一般用野球場などで構成する。設計・監理を久米設計、施工を熊谷組が担当。関係者約200人を集め、環境に優しい野球文化の発信拠点の誕生を盛大に祝った。
 場所は阪神電鉄大物駅東側に位置する小田南公園(杭瀬新町3、約7・4ヘクタール)。現在の鳴尾浜(兵庫県西宮市)から2軍本拠地を移転する。阪神電鉄と尼崎市が共同で、脱炭素や循環型社会に貢献する公園として再整備するプロジェクトを環境省に提案。2022年に脱炭素先行地域の選定を受けていた。
 2軍野球場(RC一部S造3階建て延べ約1万1000平方メートル)のグラウンド面積は甲子園球場と同程度(両翼95メートル、中堅118メートル)を確保。LEDのナイター照明灯を6基設置し、観客席は約3600席を備える。阪神なんば線を挟んだ南側敷地に室内練習場(S造平屋6168平方メートル)と選手寮「虎風荘」(S造3階建て延べ3704平方メートル)を整備した。
 脱炭素化の取り組みでは、ナイター試合を開催する野球場の年間電力使用量の80%強相当を太陽光発電と蓄電池で賄い、不足分を尼崎市のクリーンセンターの発電でカバーする。
 竣工式で、阪神電鉄の久須勇介社長は「この施設が沿線活性化の起爆剤になると確信している。今後も市と連携し期待に応えたい」、阪神タイガースの秦雅夫会長が「球団創設90周年の節目に素晴らしい施設が完成し、大変感慨深い」と話した。尼崎市の松本眞市長は「環境貢献のシンボルとして多くの来場者でにぎわってほしい」と述べ、来賓の小林史明環境副大臣は「尼崎市と阪神電鉄の先進的な取り組みに敬意を表する」と語った。
 続いて久須社長が久米設計の藤澤進社長と熊谷組の上田真社長に感謝状を贈呈。藤澤社長は「基本構想段階から参画し、6年を経てきょうを迎えることができた。この場所から将来のスター選手が巣立つのが楽しみだ」、上田社長は「施設を快適に利用していただくため、万全体制でアフターケアに努めていく」と述べた。
 オープニングセレモニーで関係者代表らがテープカットを行い、無事完成と新たな門出を祝った。