竹中工務店は、量子コンピューターを用いた教育施設整備計画の最適化技術を開発した。大学や高校、専門学校といった校舎などの新築や改修を想定し、複数のカリキュラム(授業と教室の最適な組み合わせ)実施案を短時間で算出、比較検討できるようにした。その結果を踏まえ最適な施設整備計画案を効率的に作成。発注者の要望をより的確に反映しやすい計画立案も可能になった。
多数の中から高速で最適な組み合わせを探し出す量子コンピューターの計算方式の一つ、量子アニーリング技術を活用。カリキュラム案を1案当たり10時間程度で作成する。
同社によると、教育施設のカリキュラム実施案は施設構成や学生数、教員数など複数の要因を考慮する必要がある。1学期を通して500以上の授業が行われるような大規模な大学の場合、一つの実施案作成に数カ月かかる。
新技術を用いた計画立案の手順は▽教育施設の現状やカリキュラム実施上の制約を確認▽教育施設から協議可能な教員の時間帯や授業計画、教室数・定員などの施設情報を入手▽教室数や定員について施設構成案を考察▽教育施設から入手したデータと竹中工務店が設定した施設構成案データを整理し、プログラムで読み取れる形式に変換▽教育施設固有の制約に対応するよう、最適な施設構成案を算出するプログラムを修正、テスト▽プログラムを実行して最適な施設構成案を算出▽算出した結果を教育施設に確認してもらいフィードバックを受けてプログラムを修正、再実行▽最終的な施設構成案を基に整備計画立案-となる。
複数のカリキュラム実施案を一つの最適案に絞る際、二つ以上の必修授業が同日に行われず教員や学生の授業間移動が減ることを評価。教室の稼働率が高いかどうかも考慮する。
同社は個別の施設整備だけでなくキャンパス全体の運用も視野に入れ、より効率的で精度の高い提案ツールとして活用していく。