広島県呉市は19日、幸町地区総合整備方針を公表した。美術館を新設するとともに既存の青山クラブ、桜松館、現美術館を再整備する。新美術館は2027年度から設計・工事を行い31年度の供用を目指すとした。概算事業費は、新美術館整備約32億円、青山クラブ整備約33億円(1~3階を保存・活用した場合)、桜松館解体費約3億円、現美術館改修費約7億円と試算した。25年度に幸町地区総合整備基本計画を策定し、26年度以降、各施設の調査・設計・工事に着手する。
幸町地区は、呉駅、呉海事歴史科学館や中央地区商店街の近隣に位置しており、中央地区の回遊性向上に向けた取り組みを進めていくことにしている。特に、現在進められている呉駅周辺地区総合開発、呉市海事歴史科学館リニューアル、呉まちなか公共空間デザインとの相乗効果が得られるよう、連携しながら動線を検討。また、入船山公園多目的広場での陸上競技場整備と共用施設などについて調整しながら進めていく。
総合整備のコンセプトは「呉の歴史と文化を未来へ~つどう・つながる・感じる・育む~」。歴史と文化・芸術の拠点として再整備することで、エリア全体の魅力を高め市内の回遊性を向上させる。多くの観光客が訪れるにぎわいを創出し、市民が普段から利用できる地区を目指す。
再整備の対象となるのは、既存の青山クラブ、桜松館、現技術館、入船山記念館と新設する美術館。整備方針によると新美術館は、青山クラブの建物の解体部分と中庭の一部に新築。桜松館のホール機能を移転し、講演会や作品展示、音楽コンサートなどが行える小規模なホールを併設する。青山クラブは、建物の印象的なR形状部分のイメージを継承することを重視して一部を保存。具体的な整備内容は一部保存やデザインの継承による新築整備も含め、柔軟に検討する。26年度に調査(一部保存部分の活用に向けた詳細調査、解体部分の活用する部材などに関する調査)を実施し、27年度に建物を解体。一部保存については、27年度から設計・工事を行い、31年度の供用開始を目指す。
桜松館は、建物を解体して美術館通りから直接アクセスできるオープンスペースとして整備。26年度に解体部分の活用する部材などに関する調査を実施し、27年度に解体。オープンスペースは26年度から設計・工事を行い、29年度の供用開始を予定する。入船山記念館は、既存施設の保存・活用に向けた整備を進め、現美術館への一部機能移転を検討する。現美術館は、建物を改修し歴史展示室・収蔵庫などとして活用。新美術館の供用開始以降の改修工事を予定している。