国土交通省はPFI事業の入札不調・不落対策に「見積活用方式」を取り入れた。関東地方整備局が「国道17号北本(5)電線共同溝PFI事業」の一般競争入札(WTO対象、総合評価方式)を開札し、23億7518万2529円(税込み、以下同)でNTTインフラネットを代表とするグループが落札した。不調・不落対策を目的に、入札者が提出した見積書の内容を予定価格に反映する見積活用方式を、同局が実施する工事を伴うPFI事業で初めて採用。3月の事業契約締結を目指す。
関東整備局は2024年1月に入札手続きした「国道20号西府町・谷保電線共同溝PFI事業」で発生した入札不調を踏まえ、見積活用方式を採用した。入札手続きに当たっては、電線共同溝事業への参画意欲などを確認するための市場調査を実施。標準歩掛かりではなく見積活用をした方が望ましいと考えられる工種も聴取した。市場調査の結果や現場付近の工事を受注した施工会社へのヒアリングも行った。
全46工種のうち入札者に提出を求める見積書の内容として、特殊部設置の▽縁石工(復旧)▽側溝工(同)▽路側防護柵工(同)。管路部設置の▽管路工(管路部)▽縁石工(復旧)▽側溝工(同)▽路側防護柵工(同)▽構造物取り壊し工-の8工種を選定。残りを標準歩掛かりで積算し予定価格を設定した。
落札したのはNTTインフラネットとミライト・ワン、オリエンタルコンサルタンツで構成するグループ。総合評価では価格点300点と内容点700点の合計1000点を満点として審査。その結果、同グループは763・75点(内容点463・75点、価格点300円)だった。
事業区間は埼玉県北本市本宿5~同宮内7の約800メートル。事業方式はBTO(建設・移管・運営)方式。電線共同溝と道路、道路付属物の調査設計、工事、工事管理と電線共同溝部分維持管理を一括して任せる。2034年3月の施設完成と引き渡しを目指す。契約期間は44年までの20年間。
電線共同溝整備は災害時の泥閉塞(へいそく)解消や円滑な交通確保を目的に行う。事業スピードのアップや財政負担の平準化を図るため、同局はPFI手法で整備を進める。