八潮道路陥没事故1カ月/東京都・都内自治体、下水道管の自主点検を推進

2025年2月28日 行政・団体 [4面]

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 埼玉県八潮市の道路陥没事故から1カ月。東京都や都内自治体では国が指定した点検対象以外の下水道管を自主的に点検する団体が多く、一部で今も続けている。事故原因の究明状況のほか、再発防止を検討する国の有識者会議の動向を注視。必要に応じて点検の見直しも検討する考えだ。=1面参照
 国は1日最大処理量30万立方メートル以上の下水処理場に接続する、内径2メートル以上の下水道管を点検するよう地方自治体に要請した。東京都では清瀬水再生センター(清瀬市)に接続する下水道管(約19キロ)が対象。管路内部の目視検査や道路下の空洞調査を行い、異常はなかった。
 現在は追加で延長約24キロの下水道管の点検を進めている。ポンプで下水を一度くみ上げて再び自然流下し始める箇所や、流れに段差がある所など汚水が飛散し、管が腐食する可能性が高い箇所を選んでいる。
 都が下水道管を再構築する時に適用している工法の一つが「SPR工法」だ。道路を掘削せず、下水を流したまま管の内面に塩化ビニール製の帯状材料(プロファイル)をらせん状に巻き立てる。耐食性や耐震性に優れている。
 小池百合子知事は同工法を活用しつつ、「今後埼玉県での道路陥没の原因究明などの結果も踏まえ、都として必要な対応を取っていきたい」との方針を示した。
 56万人の人口を抱える八王子市では、水循環部や道路交通部を中心に約10人のプロジェクトチームを設置した。同チームが内径1・8メートル以上の合流式の管路(延長2・2キロ)と分流式の管路(延長2・1キロ)を点検。合流式は、敷設している路面を目視で確認するほか、マンホールのふたを開けて内部をチェックした。
 分流式は水位が低下する夜間に内部を無人カメラで確認している。カメラは車輪が付いた台車に乗せ、遠隔で操作する仕組み。ラジコンのように動かせる。操縦は地上で行う。これまでに緊急対応が必要なケースはなかったという。
 府中市は内径1メートル以上の下水道管(約10キロ)や伏越室、圧送管吐き口などを目視点検し、異常がないことを確認した。今後は日常的なパトロールを強化する。国の有識者会議の結論を待って、点検の見直しなどを検討する。
 立川市は国の要請に基づく緊急点検で異常は見つからなかった。同市は10~30年使用した主要下水道施設のパトロールを日常的に行っている。
 病院や学校などに接続する下水道は使用頻度が高いことから10年経過するたびに点検を実施。人が中に入って目視するほか、規模が小さく入れない場合は無人カメラを使っている。今後も巡視点検を継続する。