◇WLB認定加点は工事・業務で順次適用
東北地方整備局は2025年度の総合評価実施方針を策定し、若手技術者の活用と育成を重視する方針を打ち出した。比較的小規模で技術的難易度が高くない施工能力評価型(ii型)を対象に、総合評価で「技術者の能力等」を求めない企業能力評価型の試行を開始する。同(i型)などの配置予定者基準も見直し、ベテランが評価されやすい「役職・立場」に基づく評価を廃止。各県建設業協会などの意見を反映しながら、4月以降公告する工事から適用する。
本省の対応方針案に基づき、ワーク・ライフ・バランス(WLB)認定取得に対する加点を25年度からすべての工事・業務に適用する。企業側の認定取得が必要となるため、工事は7月、業務は8月に順次適用する予定だ。
企業能力評価型は、各事務所で1、2件程度の試行を計画しており、建設就業者の減少や技術者不足を背景に、配置予定技術者に関する書類の約7割を削減できる見込みだ。さらに、若年層へのインセンティブを付与する「若手技術者育成タイプ」を地域の実情に応じて選択可能とする。
施工能力評価型では特定のベテラン技術者が固定される傾向があり、若手技術者の配置が妨げられている。大型の技術提案評価型(S型)と施工能力評価型(i型)で若手技術者が配置しやすい環境を整備する。配置予定技術者の施工能力評価で過去の役職(監理技術者や現場代理人など)を評価しない方針とし、若手の配置促進と育成を図る。
ここ数年、家畜伝染病が東北各地で発生している状況を踏まえ、防疫協定を締結している企業に施工能力評価型(ii型)の地域貢献実績(地域防災への協力体制)で0・5点の加点措置を講じる。地域建設会社の持続可能性と円滑な対応を確保する。担い手を中長期的に確保・育成する観点から、40歳以下の若手技術者を主任(監理)技術者か現場代理人、担当技術者として専任配置した場合、性別を問わずに加点。女性技術者が活躍する機会の増加を踏まえ柔軟な配置を促す。
段階選抜方式の技術提案評価型では、1次審査で工事実績にウエートを置いていることから選抜者が固定されているとして、優良工事技術者表彰や継続教育(CPD)の取り組み状況を評価項目に追加し全体の配点を見直す。
方針は27日に仙台市内で開催した総合評価委員会(委員長=京谷孝史東北大学大学院教授)に示し、了承を得た。24年度は工事892件(100%)を総合評価方式で入札。不調・不落の発生率は13・1%で、暖冷房、建築、電気・機械設備の工種では30%を超えるなど高い傾向が見られた。
業務では、24年度の契約業務1242件のうち、プロポーザル方式や総合評価方式など技術力を評価する発注方式が1196件(96・3%)を占めた。随意契約は昨年7月下旬に発生した秋田・山形の大雨災害関連業務の影響で増加。最低価格者以外が落札した割合は59・0%で、同整備局は総合評価方式のさらなる活用を推進する方針だ。