鹿島は、道路橋の床版取り換え工事でプレキャスト・プレストレストコンクリート(PCaPC)床版の3Dモデル自動生成システムを開発した。道路線形(道路全体の座標、長さ、角度)や、鉄筋などの数値情報を入力するだけでPCaPC床版の3Dモデルを生成。部材同士が干渉しないよう自動で配置する。生成した3Dモデルに床版取り換え前の3D測量点群データを取り込むことで、現況と設計値のずれを容易に把握。このため設計に関するシミュレーションが数値の再入力だけで短時間で行える。
同システムは床版の3Dモデル生成だけでなく、鋼桁の3Dモデルの生成や測量データの取り込みによる現況と設計の差分解析・修正も可能。システムに建設当初の鋼桁手書き図面から読み取った部材厚・幅などの数値を入力することで、さまざまな鋼桁の3Dモデルを生成できる。
床版と鋼桁の干渉チェックは、2Dの図面で行う場合と比べ設計業務の生産性が大幅に向上する。3Dモデル上に測量データ(点群情報)を取り込めば、差分解析により橋梁全体の現況と図面のずれを瞬時に数値で把握。数値を打ち換えるだけで、現況に合わせた微調整を瞬時に設計へ反映できる。
同社は、同システムを「阪和自動車道(特定更新等)雄の山第1橋他16橋橋梁更新工事(設計業務その1)」に適用した結果、これまで熟練のCADオペレーターが手作業で実施していた繰り返し検討の時間が10分の1程度に短縮した。BIM/CIMモデルが同時に完成するため、施工方法の検討や発注者などとの協議にも期待できる。
同社は今後、同システムを複雑な道路線形の橋梁や、PCaPC床版の製作と架設の施工計画に展開。同社開発の「スマート床版更新(SDR)システム」と連携させた情報化施工の技術開発も進める。