日刊建設工業新聞社が主要ゼネコン35社を対象に実施した人材採用アンケートによると、今春入社予定の新卒採用者数(大卒、高卒などすべてを含む)は前年度比678人増の4757人と3年連続で増加した。技術系は603人増の3981人となった。ただ採用目標の達成度を示す充足率が100%を上回ったのは14社にとどまる。売り手市場が続く中、各社とも優秀な人材確保に心血を注ぐ。
アンケートは1~2月に実施した。旺盛な建設需要が追い風となり、27社の採用数が前年を上回った。一方、21社が採用目標を達成できなかった。多くの社が他産業や同業他社との採用競争が激化している状況を指摘した。
各社は待遇改善で働きがいを高め、採用の競争力を強化する。初任給は21社が今春に「引き上げた」と回答した。大卒総合職の初任給は、鹿島、大林組、大成建設、清水建設、竹中工務店、奥村組、西松建設、東洋建設、ピーエス・コンストラクションの9社が30万円の大台に乗せる。大林組は賃金のベースアップや賞与の増額分を中堅と若手に手厚く配分し、入社後の定着率向上につなげる。
2026年春以降を見据えた今後の採用方針は「技術系職員(特に施工管理)の人員が不足している」(熊谷組)、「今後定年退職者の増加が見込まれる」(鉄建建設)などを理由に16社が「増やす」と回答した。「横ばい」とした企業では「事業計画に即した採用人数を計画している」(五洋建設)、「各年の採用数を一定にし、バランスの良い社内人数の構成にしたい」(戸田建設)などの理由が挙がった。
採用活動では、各社ともあの手この手で工夫を凝らす。東急建設は文系学部から技術職を採用。奥村組は施工管理職の募集対象を建築・土木系学科に限定せず、採用の門戸を広げる取り組みを試行した。テレビCMの放映やSNSの積極活用によって学生の認知度向上を目指す企業も多い。
中途採用も積極的に行う。従業員が求職中の友人を企業に紹介する「リファラル採用」や、退職者を再雇用する「アルムナイ採用」を取り入れる社が増えている。