国土交通省は直轄工事の契約変更手続きの透明性を確保するため、契約変更前に受発注者以外の第三者が適正性をチェックする新たな仕組みを2025年度に導入する。工事規模が比較的大きな支出負担行為担当官(本官)発注工事を対象に、設計変更で大幅な増額や工事区分・場所の追加を伴うケースについて第三者の視点から適正かどうか事前確認する。当面は各地方整備局などで試行的に運用し、第三者の関与による進行中の工事への影響などを見極めながら、継続的な課題抽出と改善に取り組む。
土木や営繕、港湾・空港関係を含む直轄工事のすべての分野で試行する。個別工事の契約変更で請負代金が当初額の2倍以上となるケースに加え、例えばトンネル工事に橋台工事を付加するような工事区分の追加があったり、工事場所に隣接地などが追加されたりするケースを漏れなくチェック対象とする。
第三者となる学識者や有識者は、各地域の実情を考慮し整備局などの発注者が選定する。委員会形式や個別ヒアリングなど意見の聴取方法は発注者に委ねるが、必ず複数人をチェックに介在させる。適正性の判断基準として、まずは変更理由の妥当性を確認する。工事区分・場所を追加するケースでは、既契約の工事内容と分離した施工が著しく困難かどうかも確認する。意見聴取の結果は、契約変更の内容とともにインターネットで公表する。
一連のチェックのプロセスで、受注者に通常業務と異なる負担がかかることは想定していない。ただし進行中の工事が滞るなどの影響は避ける必要があり、試行課程で第三者や受発注者双方の意見を踏まえ仕組みの改善を図っていく。
こうした仕組みの導入の背景には、公共事業の全体事業費と個別工事の契約額の大幅な増額変更が話題に上がった24年の国会審議がある。公共工事品質確保促進法(公共工事促進法)改正案の採決に併せて、第三者が適正性をチェックする仕組みの導入で適切な措置を講じるよう、衆参両院の国土交通委員会で決議されていた。