堺市は堺旧港を魅力ある交流拠点へと再生する「交流空間創出事業」の優先交渉権者に、まちづくり事業を手掛けるRETOWNを選定した。今後、事業協定を締結し、2026年3月の施設開業を目指す。飲食・物販施設の整備に加え、水辺の活用を進めることで、地域のにぎわい創出と観光誘致を後押しする。
事業対象地は堺区戎島町5周辺で南海本線堺駅から西へ約500メートルに位置する「後背地A」「後背地B」「護岸」「水面」の四つのエリア。後背地Aにカフェや屋台村(2階建て延べ1558平方メートル)、同Bにバーベキュー場(3階建て延べ2310平方メートル)を設置する。
護岸エリアにはテラス席を備えた親水空間を設け、イベントスペースとしても活用する。水面エリアでは新たに桟橋を整備し、「海の駅」登録を目指す。船舶の係留サービスや桟橋ステージを活用したイベント開催も計画している。
選定に当たっては期待できる点として「地域住民の利用を起点に、段階的に観光客を呼び込む実現性の高い計画」「広域的な視点での堺旧港の活性化」「水辺の先進的な事例を取り入れた発信力」を評価。堺東エリアとの回遊性を高める狙いも盛り込まれており、大浜北町市有地活用事業との相乗効果が期待できるとした。
具体化へは市と優先交渉権者で景観やデザインの具体化を進め、大阪港湾局や地元関係者との協議を重ねる。地域飲食店との連携やエリアマネジメントの仕組みづくりも推進し、収益還元モデルを活用した護岸・水面エリアでのイベント開催など、持続的なにぎわいの創出にも取り組む。
土地の使用期間は30年間。1立方メートル当たりの月額使用単価は後背地Aが143円、同Bが147円。3月に事業協定を締結、8月に土地の使用を開始する。