中部地方整備局が長野、静岡県境で建設を進めている国道474号三遠南信自動車道の青崩峠道路青崩峠トンネル(仮称)の完成式が2日、トンネル内で開かれた。中部整備局の佐藤寿延局長や城内実経済安全保障担当相ら国会議員、佐藤健長野県飯田市長、中野祐介浜松市長、地元関係者、施工者など約120人が出席。軟弱な地質で高度な対策が求められたトンネル本坑の完成を祝った。施工は長野県側が五洋建設、静岡県側が安藤ハザマ。
開式に当たり五洋建設の清水琢三社長は「土木史上屈指の難工事となったトンネルは、2023年5月に貫通した。完成式を迎えることができたのは関係者の協力、熱意のおかげ。三遠南信地域のさらなる発展を祈念する」とあいさつ。
佐藤局長は「これまでの技術の蓄積により貫通できた。工事に携わった皆さんは培った技術、ノウハウを次の世代にしっかりとつないでほしい。一日も早い完成を目指し、今後も整備を進める」と力を込めた。
城内担当相は「開通すれば現道より大幅な時間短縮になる。施工者の高い技術や事業に携わった皆さんに深く感謝する」と述べた。
佐藤市長は「夢の詰まったトンネル。多くの方を迎えることができるよう、道の駅の整備などに取り組んでいる。早期の開通を期待する」、中野市長は「開通時には車、人が頻繁に行き交い、三遠南信地域全体の交流が深まるようにしたい。トンネルで結ばれる両市の発展を祈念する」と話した。
関係者によるくす玉開披後、施工者謝辞で安藤ハザマの国谷一彦社長は「二重支保工など持てる技術と英知を結集させて、無事に貫通させることができた。難易度の高い重要なプロジェクトの一翼を担うことができ光栄だ。全関係者に深く感謝する」と述べた。
青崩峠道路は、国道152号の通行不能区間を解消するとともに、長野県南信地域と静岡県北遠地域に高速交通ネットワークをもたらし、地域活性化などで貢献する。
同道路を形成する青崩峠トンネル(仮称)の延長は4998メートル。最大土かぶりは610メートルにもなり、中央構造線に並行する軟弱な地質条件など、事前の調査坑の実績からも難工事が予想された。
本坑掘削は、三遠南信小嵐トンネル本坑工事(長野県飯田市南信濃八重河内)を五洋建設が担当。トンネル延長は2854メートル。同池島トンネル(浜松市天竜区水窪町奥領家)は安藤ハザマが施工した。トンネル延長は2144メートル。二重支保工の採用などで厳しい地質条件に対応し、23年5月26日に貫通を迎えた。
中部整備局は今後、電気設備や通信設備、舗装などの各工事を進める。開通時期は未定。