東京都は2025年度、宅地や道路下の埋設物を含め面的な液状化対策を始める。24年1月の能登半島地震では広い範囲で液状化が発生し、住宅が沈下、傾斜した。道路下に埋設している上下水道管などの公共施設も破損し住民の生活に影響を及ぼした。宅地と公共施設を一体として捉えて対策を講じ、震災後も在宅避難できる環境を整える。
都は25年度予算案に関連経費として新規に8000万円を計上した。宅地と公共施設の液状化被害を防ぐためにはどういう方法が最適か検討し試行する。最終的には軟弱な地層が堆積している東部低地帯などでも在宅避難が可能になることを目指す。
都が22年5月に公表した首都直下地震に伴う被害想定によると、液状化による被害は最大で全壊1549件、半壊9438件発生する見込みだ。
液状化対策を巡っては、都は23年10月に液状化対策アドバイザーの派遣相談を無料化した。液状化による建物被害に対してどういう備えが必要か相談できる。24年11月には「建築物液状化対策促進東京コンソーシアム」を設立した。行政だけでなくハウスメーカーや地盤調査会社、金融機関などで構成。参加する企業や団体が連携し、建築主や建物所有者などに多方面から液状化対策を促す。
都はこれらソフト対策に加え、宅地や公共施設などへの対策を促すことで、液状化被害のさらなる軽減を図る。