国交省直轄工事のBIM・CIM、視覚化メリット広く発揮/受注者アンケート

2025年3月4日 行政・団体 [2面]

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 国土交通省直轄土木工事・業務で2023年度に原則適用となったBIM/CIMについて、直近の工事受注者の多くが3Dによる視覚化の活用効果を最も感じていることが分かった。BIM/CIMによる3Dモデル活用の「推奨項目」のうち、施工ステップや現場条件などの確認に取り組む受注者が多かった。ただしBIM/CIMのデメリットとしてCAD業務との二度手間や、人材育成などの負担を指摘する声も目立っている。
 国交省が24年10月末時点で履行中の工事・業務の受注者を対象に11、12月にアンケートした。
 原則適用では施工時の「義務項目」を施工計画の検討や2D図面の理解への補助、現場作業員への説明といった最低限の活用方法にとどめている。23年度当初は推奨項目として「鉄筋の干渉チェック」などに活用する例が多かったが、24年度からは多様な使い道で3Dモデルを活用する工事受注者が増えた=グラフ参照。最多は537件の「施工ステップの確認」で、アンケートに対応した931者の半分以上が回答した。
 工事受注者が感じるBIM/CIMの効果を聞くと、「3Dでの可視化によるコミュニケーションや理解度の改善」が743件で最多。「設計図書館での整合の容易化」が299件、「顧客への印象向上」が265件、「手戻りの減少によるプロセスの円滑化」が187件で続く。
 反対にデメリットや効果を感じていない場面は、「CADなどの業務と二重作業による時間・手間の増加」が336件、「人材育成などの費用・時間の負担」が301件と特に多かった。
 同時期に地方整備局職員にもアンケートを行い、BIM/CIMの活用経験がありスキルを持った発注者が増えていることも分かった。従来と比較しBIM/CIMで効率化した業務を聞くと、以前と同じく受発注者間や関係機関との合意形成が多数を占めたが、「3Dモデルによる気になる箇所の作成」や「(時間軸と加えた)4D・(コスト要素を加えた)5Dでの事業監理」「データ検索」といった積極的な活用で業務効率化に取り組む事例が複数挙がった。