国交省/工事契約の注文書・請書で押印免除検討、電子契約の指針改定も

2025年3月6日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は、建設業法に基づき建設工事請負契約で義務付けている契約書への「署名または記名押印」を一部のケースで不要にできるかどうか検討に入る。基本契約書で取引内容の明確化や当事者間の対等性が担保されていることを条件に、基本契約書に連なる注文書・請書で再度の押印を求めない方向で整理する。電子契約の普及促進に向け、直近の技術進展に対応できていない現行のガイドラインを2025年度の前半までに改定する方針も示す。
 政府の規制改革推進会議が設置した「デジタル・AIワーキンググループ(WG)」の4日の会合で国交省がヒアリングを受け、書面契約の簡素化に向けた早急な対応を求められた。
 民間事業者からコスト負担や業務効率化の観点で押印義務の免除などの要望があり、WGで三井不動産が具体的な提案内容を説明した。特に基本契約書を締結した上で注文書・請書を交換するケースで押印免除が可能な解釈・運用の見直しを要望。契約内容が建設工事標準請負契約約款(標準約款)などと同趣旨の場合に限定し押印を不要とすることも検討に値すると提案した。
 現状の押印義務は契約当事者の責任主体の明確化や契約内容の理解促進を目的としており、国交省は請負契約の片務性や一般消費者の理解不足によるリスクを助長する恐れを解消できるかどうかを制度見直しのポイントに挙げる。WGでは片務性やリスクの解消を前提に、まずは注文書・請書で押印を免除し、ほかの契約書も押印とは別の合理的な代替手段を検討すべきとの指摘があった。
 電子契約の技術的基準に関するガイドラインは通知から20年以上経過し、現在主流の立会人型電子署名の位置付けが不明確との声が民間事業者からある。三井不からも「分かりやすい規制による利用促進」の要望があった。国交省はガイドライン改定に早急に取り組む意向を示し、発注者や建設業者、システム開発者などの有識者から意見を聴取し、関係省庁とも調整しながら改定方針を作成するとした。