全漁建/水産庁に漁港の強靱化対策など要望、実施中期計画策定で

2025年3月7日 行政・団体 [2面]

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 全日本漁港建設協会(全漁建、岡貞行会長)は、政府が6月に策定予定の国土強靱化実施中期計画について、水産庁に漁港の強靱化対策や全漁建会員と市町村などとの災害協定締結の推進などを盛り込むよう要望した。5日に岡会長が水産庁漁港漁場整備部の中村隆部長に要望書を手渡した。
 全漁建の要望は▽事業規模の拡大▽漁港における強靱化対策の強化▽対策内容の充実-の3点。事業規模の拡大では気候変動を背景に自然災害の被害が甚大になっていることや、資材価格高騰や人件費上昇などを指摘し、事業規模拡大の必要性を強調した。
 漁港の強靱化対策では、漁業地域の多くが半島や離島などに立地しており、自然災害が発生した際の孤立リスクが高いことなどを提示。漁港の特性や役割を踏まえた強靱化対策の強化が必要とした。
 対策内容の充実では地方自治体と全漁建会員との災害協定締結推進を盛り込むよう要望。自然災害発生に伴う火災などによる二次災害防止に向けた強靱化なども求めた。
 岡会長は「気候変動などで自然災害の威力が強まってきている。事業規模がこれまでの強靱化対策と同じだと、実質的に事業量が減ることになる」との懸念を示し、事業規模全体で大幅な拡大を訴えた。災害協定の締結では「水産庁には国土交通省の地方整備局に当たる地方機関がなく、全漁建が水産庁の地方機関と災害協定を結ぶことが難しい。災害時のために地方とどのように協定を結んでいくか、仕組みづくりを一緒に考えていきたい」と呼び掛けた。
 中村部長は要望を受け、漁港の長寿命化や老朽化対策について「実施中期計画の策定に向けて頭出しをしていきたい」との考えを示した。災害協定の締結では「一般的な建設会社ではなく、漁港に精通した建設業界と締結することが重要だ。自治体にも漁港に関係した建設業界との締結を呼び掛けている」と現状を説明した。