中部地方整備局長島ダム管理所は13日、長時間ドローンの飛行試験を静岡県川根本町の長島ダム湖面上で実施する。飛行方法はカテゴリーIIのレベル3・5。機体に搭載したカメラで飛行経路下に歩行者などがいない無人地帯であることを確認しながら飛行する。ダムの維持管理を目的としたレベル3・5飛行は全国初。安全、効率的な施設点検を目指し、効果や課題を検証する。
従来、同ダムの施設点検は作業員2~3人が船に乗り、堤体やゲートのコンクリートの状態や周辺の林道が崩れていないか、湖面に異常がないかなどを目視で確かめる。出水、非出水期で差はあるが、半日程度時間がかかることもある。
飛行試験はダムを発着地点とし、北東方向に伸びる接岨湖を回るルートで実施。飛行速度は時速18キロ以下、飛行距離は約17キロ、飛行時間は約2時間を想定する。
使用する機体は、小型の発電機を搭載して内蔵バッテリーを充電しながら飛行できるハイブリッドドローン「GLOW.H」。カメラなどを搭載した状態で2時間ほどの飛行が可能。通信方式は従来の2・4ギガヘルツに加えLTE通信にも対応し、操縦者と機体の距離が離れても通信圏内であれば遠隔操作できる。
飛行試験ではこれらの特徴を生かし、操縦者がダムにとどまり、飛行中のドローンのカメラによる映像をモニターで確認しながら操作する。施設の変状などを確認できるか検証し、点検の省人化や効率化、安全性の向上などの効果を確かめる。
飛行試験は「令和6年度無人航空機を活用した河川等の施設点検調査検討業務」の一環。パスコが受注している。
ドローンのレベル3飛行では、補助者や周知看板を配置するなどの立ち入り管理措置が求められていた。2023年に新設されたレベル3・5飛行ではこれを撤廃した。