東京都は特別支援学校の児童・生徒数の増加に対応するため、既存学校の敷地の一部を使った校舎の増築を急ぐ。学校を新設する場合、計画から設計、工事完了まで一般的に約10年かかる。最近では物価高騰などにより不調になるケースが増えており、竣工が当初計画より後ろ倒しになる可能性もある。新設よりも短い期間で校舎を建てられる増築を行うことで教室不足をカバーする考えだ。
都教育委員会の推計によると、特別支援学校の在籍者数は2021年度に1万3045人(実数)で、31年度には約1万5832人に増加すると見込んでいる。特に31年度の知的障害特別支援学校の在籍者数は、21年度の9901人から約2800人増える見通しだ。
都は24年度に学識者などで構成する「東京都立特別支援学校の施設整備等在り方検討委員会」を設置した。同委員会では児童・生徒数の増加に応じた緊急・一時的な増築棟の設置などを議論していた。
都は同委員会での議論を踏まえ、既存の特別支援学校の敷地内で増築できるスペースがないか調査を進めている。年度内に「東京都特別支援教育推進計画(第二期)第三次実施計画」(25~27年度)を策定・公表する予定で、関係者との調整が完了した増改築・新設案件を盛り込み、児童・生徒の受け入れ環境の向上に結びつける。
東京都特別支援教育推進計画(第二期)は、都の特別支援教育の方向性を示す計画期間11年間の長期計画。この中で、具体的な取り組み内容を明らかにする実施計画は一~三次に分けている。都は17~21年度に第一次実施計画、22~24年度には第二次実施計画に取り組んできた。