鹿児島県は志布志港(志布志市)のおおむね20~30年後の目指すべき姿とその実現に向けた空間利用計画や施策などを取りまとめた長期構想を策定した。物流やにぎわい、エネルギーなど四つの分野で目指すべき将来像を提示。新バルク貨物ターミナルの整備や高付加価値型産業の誘致、新たな交流拠点の創出などを盛り込んだ。
構想では「地域のポテンシャルと稼ぐ力を引き出す、世界に開かれた志あふれる志布志港」を基本理念に、▽物流・産業▽人流・にぎわい▽安全・安心▽環境・エネルギー-の四つの分野で目指す将来像を示した。
主な取り組みについては、物流・産業では▽新若浜地区でのコンテナターミナルの拡張と新バルク貨物ターミナルの整備▽輸送方法を環境負荷の少ない船舶などに転換するモーダルシフトを促進する次世代高規格ユニットロードターミナルの形成▽大型穀物船に対応するための耐震強化岸壁の整備▽若浜地区の緑地公園移設による新たな産業用地の確保▽企業用地を活用した流通加工機能などを有する付加価値型の物流施設誘致-などに取り組む。
人流・にぎわいでは、若浜地区の緑地公園をフェリー機能の移転に合わせて外港地区に移し、志布志港の景観を一望できる緑地を整備。みなと緑地PPP制度を活用した新たな交流拠点の創出も検討する。
安全・安心では、コンテナターミナルやフェリー・RORO船(貨物車両をそのまま運搬できる船舶)ターミナルの耐震化、外港地区での港湾機能の維持や早期回復に必要な作業船の係留場所の確保、コンテナなどの流出防止対策といった取り組みを進める。
環境・エネルギーでは、若浜地区での次世代エネルギー関連産業誘致や脱炭素化の推進に向けた港湾機能の高度化、環境に配慮したブルーインフラとして藻場や干潟の造成を検討していく。
今後は長期構想に基づき、早期に取り組むべき施策は港湾計画を改定して反映させる。