国土交通省は直轄工事で2025年度から試行する総合評価方式の新タイプ「技術提案評価型(SI型)」の実施要領を固めた。月内に策定・公表し、適切な運用を各地方整備局に要請する。SI型ではVFM(バリュー・フォー・マネー)の考え方に基づき、仕様や工法の変更で安全性や生産性、品質の向上などが期待できる事項について「技術向上提案」を求める。技術向上提案の評価点は当面、現行のS型で技術提案に充てている配点の合計の2分の1から3分の1のウエートで設定する。
7日開いた有識者会議「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」の「建設生産・管理システム部会」で試行の実施要領案を明らかにした。
SI型は、S型で発注する工事のうち仮設物や工法、目的物の比較的軽微な変更で効果が期待できる場合や、新技術・工法の活用が期待できる場合に適用。コスト面で分が悪い省人化などに寄与する工法や資材の採用を促す。大規模工事ほど効果的な提案が得られやすいことを踏まえ試行対象を選定。発注手続きの期間はS型より長く設定する。
技術向上提案のテーマは、通常の技術提案テーマとは別に一つ設定する。施工性の高い工法への変更、交通渋滞・事故防止や作業員の危険防止、維持管理性の高い工法の採用といった具体例を示す。特定の工種・箇所・段階でのテーマ明示を推奨。コスト縮減は提案に含めず、資材の一部を既製品に置き換えるだけの提案も評価しない。
競争参加者には提案実施の概算費用の明示を求める一方、入札はその費用を含めず当初仕様で行う。第三者に諮った上で提案を採用する場合、当初契約後に契約変更を行う。
増額変更の上限は、公告時点の予定価格の5%を超過しない範囲で発注者が設定。受注者から提案部分の見積もりを徴収し、協議を経て請負代金の変更額を決定する。新工種を提案する場合を除き、変更時に落札率がかかる。
試行開始後、提案に基づく実際の効果や配点の妥当性などをフォローアップする。将来的に直轄工事の総合評価方式のガイドラインに明記し本格運用する。同部会では建設業団体から、同じような技術向上提案テーマが続けば一部の技術を持った企業に継続的に有利に働く可能性があるとして、テーマ設定の是非について透明性ある制度運用を求める声があった。