国交省/地域業者へ普及見据え自動施工の安全ルール改定、機器側のリスク低減措置明記

2025年3月12日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は建設機械による自動施工の「安全ルール」を改定する。製造会社など機器供給者側のリスクアセスメントに関する事項を新たに設ける。汎用(はんよう)的な自動化システム・機器が今後普及し、地域を基盤とする中小建設会社にも自動施工が広がる将来像を見据え、機器側でリスク低減措置を講じ、残留リスクの内容や対処法を施工者に情報提供するようルールを明確化する。
 産学官で構成する「建設機械施工の自動化・自律化協議会」の会合を11日に開き、安全ルールの改定案を示した。
 2024年度は自動施工技術が既に実装された直轄工事4件で、安全ルールの適用を現場で試行した。複数社の共同を含む21者が応募した民間技術の現場検証も並行して進め、安全ルールの改定や関連機器の機能要件を検討してきた。
 試行工事は大手ゼネコンによる先進的なダム現場などに加え、火山砂防事業の緊急対策工事を手掛ける地場の建設会社が危険回避の観点で無人化施工に取り組む現場も含まれる。自社開発の技術を持たない地場企業が、メーカーなどの技術支援を受けて自動施工に取り組む実例が出てきている。
 現場関係者への聞き取りによると、リスクアセスメントは施工現場ごとに実施しているが、機器側でも必要との意見があった。施工者と機器開発者・提供者が協調し現場実装に取り組む実態があり、現場と機器の双方でリスクアセスメントの実施を明確化する。
 機器側のリスクアセスメント事項は厚生労働省の「機械の包括的な安全基準に関する指針」をベースに整理した。メーカー側は設計・製造段階でリスクに応じた保護方策を講じ、それでも残留するリスクを「使用上の情報」としてユーザーに提供することを求める。
 国交省は25年度、改定後の安全ルールを適用する試行工事を大規模土工工事以外の工種にも拡大する方針。機器の機能要件の検討は継続し、試行拡大を踏まえ施工管理や監督・検査の技術基準類の検討に新たに着手する。