12日に実施される大阪府の2025年度公立高校一般選抜入試で、全日制128校のうち65校で倍率が1倍を下回る「定員割れ」となった。有名大学への合格者を多数輩出してきた伝統校も複数含まれる▼吉村洋文知事は10日の会見で少子化の影響を指摘。「定員割れはいずれ来る道。行きたい学校に行けるという選択肢を保ちつつ、高校の再編を通じ公立も私立も切磋琢磨(せっさたくま)しながら教育の質を高めていくべきだ」と所見を述べた▼定員割れが相次いだ背景には、府が24年度から国に先駆け導入した高校授業料の無償化に伴い、私立の専願率が高くなっていることも影響しているとみられる▼府では3年連続で定員を満たせず、改善の見込みがない高校は再編整備の対象にすることが条例で定められており、実際に閉校した学校もある▼吉村氏はタブレット教育の導入や海外留学の支援を列挙して「公立高校にももっと投資をしていく」方針を打ち出す。私立とは予算や運営の自由度が大きく異なる状況にあり、これからの公立は知名度だけでない魅力も求められる。府の動向は全国的なモデルとしても注目される。