勤労者退職金共済機構(勤退共、梅森徹理事長)の建設業退職金共済事業本部(建退共本部、大澤一夫本部長)は、退職金1000万円超の実現に向け1人につき複数の掛け金を納付する「複数掛け金制度」の導入を検討する。現在の掛け金日額320円を3段階で徐々にアップさせ、掛け金を40年程度納付した場合の退職金を1000万円超にする。インターネットで掛け金を納める電子申請方式の拡大に向けては、退職金ポイントを還元するなどのインセンティブ付与を検討する。
11日に東京都内で運営委員会・評議員会を開き、2025年度事業計画とともに当面の事業方針などを説明した。退職金額の増額に向けた複数掛け金制度の導入はこれまでも業界団体などから要望が上がっていた。このほど初めて具体的な目安として1000万円を掲げた。
現在の退職金は、日額320円で37年間納付した場合で388万円。これに対し、東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情」(2024年版)によると全産業の退職金額は842万円と大きく上回る。「将来の安心につながる制度にする」(建退共本部)ため、日額320円に上乗せした複数掛け金制度を検討する。検討に当たっては建設キャリアアップシステム(CCUS)の能力評価を参考にする。
電子申請方式の拡大に向けては、ポイント還元などによるインセンティブの付与を検討する。建退共の掛け金として利用できる「退職金ポイント」を証紙に代え、ペイジー(電子決済)で購入した掛け金負担者に対し、一定割合の退職金ポイントを還元して次回以降の退職金ポイントに充当できるようにするなどの運用を想定。インセンティブの付与は、今秋予定している電子申請システムの大規模改修の後に始める。25年度は電子申請方式による掛け金納付率12%以上(24年度目標9%以上)を目指す。