大阪府は阪南港沖の貯木場埋め立てに向け、2025~26年度に埋め立ての規模や施工方法の検討を進める。25年度下半期に予備設計を委託する方針で、当初予算案に2カ年の上限額1億7000万円の債務負担行為を設定した。上半期には予備設計に必要な基礎データを把握するため、測量と土質調査業務を別途委託する。環境影響評価(環境アセス)の方法書作成も進める計画で、これらの費用を含め、25年度は総額2億6600万円の予算を投じる。
埋め立てが計画されているのは岸和田市と忠岡町にまたがる阪南港沖の貯木場約76ヘクタールの公有水面。1960年代から木材コンビナートとして稼働していたが、輸入木材の流通形態の変化により需要が低下し、現在では大半が遊休地となっている。地元自治体はこの未活用地を産業用地として整備し、企業誘致や研究機関の誘致を進めることで地域経済の活性化を目指している。
埋め立て材は北陸新幹線やリニア中央新幹線、高速道路工事などで発生する建設残土の活用を視野に入れており、環境アセスの進捗と並行して受け入れ可能な量や搬入時期の検討を進める。
環境アセスの検討は24年度に着手。これまでに環境アセスの最初の段階となる「配慮書」の取りまとめまでが完了しており、府は11日には事業者の大阪港湾局に対し、知事意見を公表した。
意見では瀬戸内海の埋め立てを抑制する基本方針に基づき、埋め立て以外の代替案を含めた比較検討を求めた。環境アセスの方法書には事業の必要性や規模の検討経緯を詳述するよう要請。さらに埋め立てによる水質や生態系、地盤沈下への影響を十分に考慮し、専門家の知見や現地調査を踏まえた評価を行うこととした。景観への影響でもフォトモンタージュなどを活用した詳細な検討を求めた。