国土交通省は若手や女性の技術者が、直轄工事の監理技術者として従事しやすい環境を整える。若手の登用拡大を促す入札方式に改善するとともに、技術者個人のライフイベントを考慮し現場配置・交代の柔軟化を許容する。例えば入札で配置予定技術者を評価する際、過去に携わった工事での「立場」は求めず経験だけで認めることなどを想定。入札時の加点要件として技術者の性別を指定するのは、個人の事情で途中交代が必要になった場合に制約が大きいことから取りやめる。
監理技術者の高齢化が進行し若手の育成が急務となる中、発注者として主に入札制度の観点で対応する。
技術者の実績を評価対象としないWTO工事で、▽段階選抜方式の配置予定監理技術者の評価項目に過去に同種工事に携わった際の「立場」を求めない▽競争参加資格要件の「配置予定技術者の同種・類似工事の施工経験」について工期の「全期間」ではなく「一定期間以上」の従事で認める-といった措置を講じる。現状で導入が限定的な「監理技術者交代育成モデル工事」「専任補助者制度」の取り組みを拡大し、若手技術者の育成を一層支援する。
入札参加申請時点で配置予定技術者の特定が必要なことも、ほかの入札案件との重複申請が認められない中で柔軟な技術者配置の阻害要因となっている。段階選抜方式以外のWTO工事のうち当面は一般土木に限った試行という形で、特定期限を入札直前に見直す予定。技術者配置の見極めに従来より3カ月程度の余裕が生まれることになる。
女性技術者登用のモデル工事など入札時の加点要件を性別で縛っている場合、入札の公平性の観点から交代時も女性技術者を配置しなければいけない制約がある。今後は配置予定監理技術者として女性と若手を同等に評価・加点し、以前より柔軟な交代を可能とする。出産や育児、介護などの「やむを得ない場合」に技術者の交代が可能と入札時に明示する取り組みも促進。技術者個人のメリットも大きいと見て離職防止や、監理技術者の希望者の増加につながると期待する。