全国建設業協会(全建)の今井雅則会長は11日に東京都内で開いた理事会・協議員会後に会見し、2025年度の注力事業について、石破茂首相や中野洋昌国土交通相らと申し合わせた技能者の6%賃上げと、生産性向上の二つを挙げた。時間外労働の上限規制順守に向け、新たに日本空調衛生工事業協会(日空衛、藤澤一郎会長)、日本電設工業協会(電設協、文挾誠一会長)とも連携。全建を含め6団体で土日閉所一斉運動を展開していく考えを示した。
2月に開いた石破首相、中野国交相、建設業4団体との車座対話で、25年に技能者賃金の「おおむね6%上昇」を目標に官民で取り組むことを申し合わせた。今井会長は「建設産業は他産業に比べて生涯収入が少ない。6%賃上げを実現し、他産業にキャッチアップするためには原資が必要」と指摘し、原資を確保するための方策として価格転嫁に取り組む考えを示した。
生産性向上は技能者の6%賃上げと同時に申し合わせており、25年度事業計画には建設業のICT化を目的とした国交省の「建設市場整備推進事業補助金」を活用し、会員企業にICT機器などを普及させていくことを盛り込んだ。今井会長は「(取り組みを)実効性のあるものにしなくてはいけない」と強調した。
4月に時間外労働の上限規制への対応が2年目を迎えるに当たり「閉所率が上がってきている」との手応えを語り、「(取り組みを)全体に普及させないといけない」と力を込めた。24年3月に全建と日本建設業連合会(日建連)、全国中小建設業協会(全中建)、建設産業専門団体連合会(建専連)の4団体で「目指せ!建設現場の土日一斉閉所運動」を開始。25年度は日空衛、電設協の2団体とも連携し、「6団体で展開していく」と意気込みを語った。
土日閉所運動は取り組みを地域レベルにまで落とし込み、地域の実情に応じて各都道府県建設業単位で好事例を収集したり、情報提供したりして展開する。