国交省/山岳トンネル省人化・自動施工を試行、技術提案評価SI型で発注

2025年3月14日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は直轄工事で山岳トンネルの省人化施工に関する試行工事を開始する。2025年度から試行する総合評価方式の新タイプ「技術提案評価型(SI型)」を適用し25年度に3件程度発注する。その際にトンネル施工の省人化を「技術向上提案」のテーマとして設定する。特に自動施工技術の適用が有効となり得るトンネル工事を対象とする方向で、民間技術の積極的な提案を求める。試行工事の成果を自動施工技術活用の実施要領や積算基準、管理基準などの整備にも役立てる。
 i-Construction2・0に基づき山岳トンネル施工のオートメーション化を目指す取り組みとして13日発表した。ダム現場や大規模土工現場が先行する自動施工技術の導入検討に山岳トンネル現場でも着手する。
 国交省がSI型を試行する工事種類を明らかにしたのは初めて。具体的な試行対象案件は発注見通しの公表段階で「省人化施工試行工事(トンネル)」として明示する。
 SI型ではVFM(バリュー・フォー・マネー)の考え方に基づき、仕様や工法の変更で安全性や生産性、品質の向上などが期待できる事項について「技術向上提案」を求める。トンネル施工の自動化を含む省人化に向けた工法変更などを求めることになりそうだ。
 試行工事を一度受注した企業を続けて評価しないことで、さまざまなバリエーションの省人化・自動施工技術を試行したい考えだ。山岳トンネル掘削では▽削孔位置マーキング・装薬孔削孔・装薬孔清掃▽装薬・結線・点火▽ずり出し▽鋼アーチ支保工▽吹き付けコンクリート▽ロックボルト-といった工程があり、それぞれに省人化・自動施工技術を活用できる場面があるとみている。
 SI型では競争参加者に提案実施の概算費用の明示を求める一方、入札はその費用を含めず当初仕様で行う。提案採用時は当初契約後に契約変更する。増額変更の上限は、公告時点の予定価格の5%を超過しない範囲で発注者が設定。受注者から提案部分の見積もりを徴収し、協議を経て請負代金の変更額を決定する。