森長組は主力の海洋土木分野で優位性を確立するため、桟橋などの基礎工事に必要な鋼管杭打設が効率化できる大型振動式杭打ち機(バイブロハンマー)を導入した。油圧式で最大起振力は国内最大の6150キロニュートン(N)。導入も国内初となる。杭径1000~3440ミリに対応し、兵庫県淡路市の津名港で行った試験施工で性能や効果を確認済み。実工事への適用を目指し営業活動を本格化する。
オランダのPVE社製「PVE300M」で2024年10月に調達した。本体サイズは全高5562ミリ、横幅5035ミリ、奥行き1800ミリ、重量約54・4トン。起重機船に据え付けた2台の油圧ユニット(パワーパック)に接続し稼働させる。最大振幅は21ミリとなる。
欧州と米国の排出ガス規制に適合した環境配慮型エンジンを搭載し、ギアオイルなどの油脂類も生分解性油を使用。油圧ホースは圧力保護弁が装着されトラブルを未然に防ぐ。パワーパックとハンマー本体は過酷な温度変化に耐えられるよう優れた冷却性能を持つ。
大口径で長い杭を打設する場合、小型ハンマーでは杭を分割打設する必要があった。大型タイプを使うと一度に施工でき、工期短縮と安全性の向上が期待できる。省力化のメリットを働き方改革や人手不足の対応にもつなげていく考えだ。
6日に津名港で行った試験施工では、同社が保有する1800トンつりの起重機船「第一豊号」を使用。クレーンにつるしたバイブロハンマーで直径1・6メートル、長さ35メートルの鋼管杭を把持し、海域地盤への打設と引き抜き試験を行った。打設作業はスムーズに進み、最終的にL3層(N値50以上、マイナス17メートル)の硬い土質を打ち抜いたことを確認した。
同社は小型のPVE110M(最大起振力2198キロN)も同時に調達。既存の4台を合わせて6台保有する。桟橋や護岸工事、洋上風力などをターゲットに「高い技術力と競争力を生かし、小規模から大規模まで幅広い案件で優位性を発揮していきたい」(垣脇重利取締役海洋部長)と今後の展開を見据える。