川崎市は13日、「新たなミュージアムに関する基本計画」を策定した。2019年の台風19号で被災した川崎市民ミュージアム(中原区、等々力緑地内)に代わる新たな施設を、「生田緑地ばら苑」隣接区域の市有地(多摩区)に移転・新設する。整備手法はBTO(建設・移管・運営)方式のPFIなどを視野に検討し、25年度に管理運営計画をまとめる。BTOを採用した場合、26年度にも事業者を公募し、最短で31年度の開館を見込む。
建設地の生田緑地ばら苑(長尾2の8の1ほか、旧向ケ丘遊園内)隣接地は、被災想定区域(ハザードマップ)の該当がない被災リスクの少ない場所。新施設は延べ9500~1万1500平方メートル規模を想定する。各機能と想定面積を見ると、収蔵・保管スペース2900~3400平方メートル、調査研究・デジタル化スペース400~500平方メートル、修復スペース200~300平方メートル、展示スペース1800~2200平方メートル、活動スペース600~700平方メートル、ユニバーサルスペース(カフェ、レストラン、ショップなど)1800~2500平方メートル、バックヤード1800~1900平方メートル。
市は基本構想策定以降、民間事業者らとの対話調査などで民活手法の導入可能性を探ってきた。その結果、現段階では従来手法よりもPFIなどの手法が優位と判断。今後は管理運営計画の策定と並行して民活手法の詳細な検討に着手する。この検討は生田緑地ばら苑管理運営整備事業と一体的に行う予定。
建設地周辺で計画中の向ケ丘遊園跡地利用の動向や、生田緑地内の日本民家園、青少年科学館、岡本太郎美術館などの既存文化施設とも連携し、小田急向ケ丘遊園駅から連なる地域全体の活性化を図る。そのためのアクセス向上や生田緑地の回遊性向上などの手法も検討する考えだ。
川崎市民ミュージアムは1988年に開館した。施設はSRC造地下1階地上3階建て延べ1万9542平方メートルの規模。台風19号で多摩川が氾濫し、地下に所蔵する美術品など約23万点が水に漬かる被害を受けた。