東京都杉並区で善福寺川上流地下調節池の整備事業を進めている東京都は、2035年度に一部で取水を始める。建設が完了した施設を先行稼働し、頻発化している豪雨による被害軽減を図る。工事の準備から管理棟など付属施設の完成までを含めた工期は25~41年度の計画で、総事業費は1557億円を見込む。
都立善福寺川緑地(杉並区成田西3)から杉並区立関根文化公園(上荻4)にかけて地下トンネル式の調節池を構築する。内径は9メートル程度で、延長は5・8キロ。約30万立方メートルの水を貯留する。善福寺川緑地と原寺分橋下流右岸(西荻北4)、関根文化公園の3カ所に立坑と取水施設などを造る。
3カ所のうち、関根文化公園で35年度に取水を始める。残る2カ所の取水開始時期は今後固める。
善福寺川緑地での工事は25~41年度(トンネル本体工事は25~35年度)に行う。関根文化公園は28~39年度(28~35年度)、原寺分橋下流右岸は29~41年度の予定。都は1月22日に国から事業認可を取得し、用地買収に向けて動き出した。
善福寺川上流地下調節池の建設を巡っては、ECI方式を試行。24年2月に都財務局が「善福寺川上流調節池(仮称)工事に伴う技術協力業務」の委託先に鹿島・大成建設JVを選んだ。
同JVが専門的な知見やノウハウを生かし、設計段階からサポートに当たっている。基本・実施設計はパシフィックコンサルタンツが担当している。同JVとの工事契約は25年度以降になる予定で、トンネル本体工事の参考工事費は1000億円程度を見込んでいる。