関東整備局/土木工事電子書類スリム化ガイドで実態調査、95%が分かりやすさ実感

2025年3月17日 行政・団体 [5面]

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 関東地方整備局は、2024年3月に改定した「土木工事電子書類スリム化ガイド」(ver3・0)の効果や課題把握を目的としたアンケートの結果を14日に公表した。管内工事を受注した企業の担当者のうち、95%が同ガイドを「わかりやすい」と回答した。工事書類の作成では2割が「改善が必要」と指摘。主にワンデーレスポンスの徹底を発注者に求める意見が目立った。
 調査は24年11月1日以降に工期を迎える受注者を対象に同12月1日~20日にウェブ形式で行った。設問は20問で、いずれも複数回答を可能にした。回答数は334社(回答率78・8%)、現場数に換算すると662件(61・1%)。集計データは現場に従事する管理技術者や現場代理人の回答から割合を算出した。
 設問は「スリム化ガイドのわかりやすさ」「設計審査会の開催状況」「逆行もしくは記載内容に反した指摘」など。今回から各出張所が独自に定めた書式(ローカルルール)に基づく書類作成の有無も聞いた。
 同ガイドでは、全工事を対象に着工前の設計審査会で受発注者の役割分担を明確にした上で書類作成を行うよう求めている。設計審査会で分担が「明確だった」と回答したのは95%。維持工事以外の審査会実施率が94%だった一方、維持工事では67%にとどまった。整備局は審査会の開催を促すため、今後も周知徹底を図るとした。
 アンケートでは、一部現場で同ガイドが守られていない実態も浮き彫りとなった。工事書類を統一・簡略化して受発注者の事務負担を減らす目的があるにもかかわらず、ガイドの記載内容に逆行するケースも見られた。例えばガイドで不要としている臨場確認時の写真の提出を求められたり、立会した結果を改めて情報共有システム(ASP)に添付したりするよう注文が付いたという。
 逆行した対応を受けた受注者が、同ガイドを発注者に見せて解決できたのはわずかに26%だった。整備局は「発注者の認識不足」(技術調査課)と指摘。受注者に「まずは同ガイドを提示する」(同)よう働き掛ける。発注者側も記載内容の認識を深めるよう促す。
 ローカルルールに基づく書類作成の有無も調査したところ、6%が「はい」と回答した。主な依頼内容として施工体制台帳への役割分担表の作成や完成図の製本などを挙げた。
 整備局はアンケートの結果を踏まえ、月内にバージョン4・0のガイドを公表する予定だ。