環境省、経産省/洋上風力発電施設ガイドライン案、工事騒音や濁りなどモニタリング

2025年3月17日 行政・団体 [2面]

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 環境、経済産業両省それぞれの有識者検討会は14日、洋上風力発電施設の工事や稼働のモニタリングに関するガイドライン案を固めた。モニタリングの対象、主体、工事中の騒音、水中音、水の濁りなどの調査項目や方法を示した。濁りの拡散の調査は、濁度計や流速計を複数設置する方法に改めた。環境影響の予測が難しく、不確実性を伴うことから、モニタリングの結果を踏まえて環境影響を回避・低減する「順応的な取り組み」が重要と強調した。
 同日、経産省の「洋上風力発電におけるモニタリング等に関する検討会」(座長・田中充法政大学名誉教授)がガイドライン案について議論した。モニタリングは中央環境審議会(中環審、環境相の諮問機関)が風力発電の環境影響評価に関する答申で実施を求めていた。
 案には国と事業者の役割、事業者が行う具体的なモニタリングの内容などをまとめた。浮体式の考え方も盛り込んだ。内容を一定期間で見直すとした。
 工事中と稼働中のモニタリングは事業者が行い、順応的な取り組みとして、重大な環境影響が明らかな場合は追加的な環境保全措置を検討する。事業者が行うのは、工事中の▽騒音(打設音)伝搬▽水中音の伝搬▽水の濁りの拡散▽稼働中の水中音の伝搬▽稼働中のバード・ストライク▽事業サイトの海生哺乳類の生息状況変化▽設備への付着生物などの状況-とした。
 騒音伝搬の測定には、日本産業規格の特定建設作業の発生騒音に対する方法を用いる。水の濁りの測定は、流下方向を施工前に特定できる場合、できない場合に分け、特定できない場合は埋設ラインの両側に2点ずつ測定地点を設ける。特定できる場合は流下方向の2地点とする。付着生物は、モノパイル式であれば洗掘防止工の先の砂地までを対象とする考えを示した。
 モニタリングの結果から、環境保全措置を講じる場合の目安となる指標については「データの蓄積が必要」とし、ガイドラインに将来示すことを目指すとした。ガイドライン案に対する一般意見を近く募る。