近畿地方整備局が2021年度から整備を進めてきた淀川大堰閘門(大阪市都島区)が16日に開通した。愛称は「淀川ゲートウェイ」に決まり、大堰の上下流に生じる最大2メートルの水位差を調節する船舶用エレベーターの役割を担う。上流の京都方面から大阪湾まで航路がつながり、4月13日に開幕する大阪・関西万博の夢洲会場を結ぶ航路としても期待が高まっている。16日午前、淀川大堰閘門の初通航と下流側に完成した十三船着き場の供用開始を祝う記念式典が行われた。
淀川の航路分断を解消するため淀川大堰左岸側に幅約20メートル、延長約70メートルの閘室を整備した。閘室幅では国内最大となり、定員100人程度の大型観光船であれば4隻の同時通過が可能だ。閘室他整備工事を五洋建設、躯体整備工事を大成建設が手掛けた。通航は可能だが、残る上屋など全体工事の完成は25年度を予定する。総事業費は約186億円。
十三地区をはじめ淀川沿川12カ所に整備された船着き場なども活用し、舟運を核とした地域のにぎわい創出に加え、平常時は大量の土砂運搬など、さまざまな公共工事にも舟運が活用できる。災害時は緊急物資などの運搬手段として効果を発揮する。
十三船着き場(大阪市淀川区)で行われた記念式典には、近畿整備局や沿川自治体などが参画する淀川舟運活性化協議会の関係者ら約200人が出席した。
冒頭、協議会会長を務める長谷川朋弘近畿整備局長が「淀川舟運を軸とした沿川のにぎわいづくり創出に向け、協議会の構成団体が協力して万博会場を結ぶ観光船の運航や関連イベントの社会実験などを行い、一層機運を高めていきたい」とあいさつ。吉村洋文大阪府知事は「万博開催前の開通をうれしく思う。京都と大阪を結ぶ舟運が活性化し、水都大阪の魅力が広がることを期待している。今後のまちづくりにも川や水の魅力を発信していきたい」と話した。
西脇隆俊京都府知事は「京都の発展に重要な役割を担ってきた淀川舟運の復活を世界にも発信していく。京都から大阪への新たな広域周遊につなげる絶好の機会だ」と力を込めた。
近畿整備局淀川河川事務所の谷川知実所長が工事概要、横山英幸大阪市長が「淀川河川敷十三エリアかわまちづくり」の事業を報告した後、十三船着き場で関係者によるテープカットが行われ、舟運を核とした沿川地域のにぎわい創出を祈念した。