産業技術総合研究所(産総研)と清水建設は、汎用(はんよう)の熱交換器と独自の拡散構造で高速吸蔵が可能な「水素吸蔵合金タンク」を開発した。空調機器などに使う汎用の熱交換器を転用。熱媒シミュレーションの技術で熱媒流路を制御し、汎用の熱交換器でも水素の吸蔵と放出の熱管理を可能にした。タンク内は水素を面的に導入する水素拡散板を採用して高速の充填や放出を実現。高性能化と低コスト化を両立させ、持続可能なクリーンエネルギーとして都市部への導入拡大を目指す。
汎用熱交換器を転用した水素吸蔵合金への吸蔵や放出に必要な熱管理を行うため、シミュレーションによる熱媒流量などの詳細解析を熱媒制御に生かして高性能化。タンク内の合金充填層に面的に効率よく水素が導入できる水素拡散板も採用することで、高水素流量での吸蔵・放出運用が可能な低コストの水素吸蔵合金タンクを開発した。
今回開発した水素吸蔵合金タンクは、産総研と清水建設、東京都港湾局などが共同で進めている「水素を活用した臨海副都心の脱炭素化に資する共同研究」の一環で、地下熱供給プラントに導入している。この取り組みを踏まえ、2025年度からは水素混焼ボイラーによる地域熱供給の社会実装プロジェクトを推進する。