東京都は2025年度、3カ所の調節池で本体工事に着手する。武蔵野市と西東京市にある石神井川上流地下調節池などで合計貯留量は65万立方メートル。同年度はこのほか、8河川で調節池の整備候補地や形式の検討に入る。昨年は夏場に1時間当たり100ミリを超える集中豪雨が発生するなど大規模水害のリスクが高まっている。調節池の整備を推し進め、浸水被害を軽減する。
都は新規事業化する調節池の総貯留量を、従来の「30年度までに約200万立方メートル」から「35年度までに250万立方メートル」に引き上げた。3月時点で27カ所、総貯留量264万立方メートル分の調節池を建設。24年は延べ115万立方メートルの洪水を取水し、調節池より下流の水位を低下させるなど整備効果を発揮している。
都は25年度に9カ所の調節池の建設工事を行う。このうち本体工事に入るのは石神井川上流地下調節池と善福寺川上流地下調節池(杉並区)、境川木曽西調節池(町田市)の3カ所。水をためるための地下トンネル、箱型構造物の建設のほか、立坑の構築などを行う。
調節池の建設候補地や形式などを検討するのは▽野川▽神田川▽渋谷川・古川▽呑川▽境川▽仙川▽奈良橋川▽白子川-の8河川の予定。
地下河川の実現に向けても取り組む。複数の地下調節池を連結し、東京湾まで洪水を流下する計画で、25年度は環状七号線地下広域調節池(中野区~練馬区)などを連結するトンネルの基本構造の検討に入る。水の放流口を確保することで、調節池が満水になった後でも河川の洪水の取水が可能になる。基本構造を検討した後は、地下河川のルートや内径、延長など、施設内容を具体化する予定だ。