国交省/下水管路の特別重点調査を自治体に要請、最優先1千kmを25年夏までに

2025年3月19日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、全国特別重点調査に乗り出す。地方自治体に対し、陥没原因とされる下水道の幹線管路の調査を要請。判定基準をこれまでより厳しくした緊急点検で、ICTの積極活用も求める。八潮市の事故と類似の下水道管路を「最優先」と位置付け、夏ごろまでに調査を実施。最優先点検の対象管路は全国で1000キロ程度となる見込み。重点調査全体は1年程度で点検を完了させる。
 全国特別重点調査は「発生しやすさ」と「社会的影響」の二つを考慮し、敷設から30年以上が経過した口径2メートル以上、管路延長1万メートル以上の条件に当てはまる全国約5000キロの下水道管路を対象に実施。点検では腐食、たるみ、破損の3項目で劣化状況を診断し、1年以内に点検を終えて報告を求める。
 最優先の管路は▽八潮市と類似の条件(立坑接続部付近の屈曲部で地下水位が高く、地盤が砂質または緩いシルト系)▽構造的に腐食しやすい、または過去の調査で腐食が見つかったものの未対策▽緊急輸送道路直下で下水道起因の陥没履歴がある▽沈砂地の堆積土砂が顕著に増加した処理場やポンプ場につながる管路-の4条件のいずれかに当てはまる箇所とする。
 点検は潜行目視(調査員が管内に入り目視で確認・調査)を基本とし、ドローンや遠隔カメラなどの積極活用を求め、コンクリート診断士など専門家に検証してもらうなど判定の質を十分に確保する。腐食などが見つかった場合は打音検査などの詳細検査と地上から路面下空洞調査や貫入試験、管路内からの空洞調査などを行い、陥没の危険がないかを調べる。
 腐食、たるみ、破損の3項目をAからCランクで評価。最も重度のAランクが一つでも見つかれば緊急度Iと判定し、原則1年以内で対策工事を施す。ランクBがあれば緊急度IIとして応急対策と5年以内での本格対策の実施を求める。
 検査に当たる作業員の安全性確保のため、十分な換気や流出防止装置の設置する。