大成建設は同社が開発したリジッドダンプ自動運転技術と施工管理支援基盤システムを連携し、複数台の自動化建設機械の協調運転による無人化施工を現場実証した。国土交通省東北地方整備局が発注した「成瀬ダム原石山採取工事」(秋田県東成瀬村)の現場を対象に、同省がi-Construction2・0で提唱する施工やデータ連携、施工管理をオートメーション化する観点から、現場での有効性を確認した。
現場では、同社のリジッドダンプ自動運転技術「T-iROBO Rigid Dump」と施工管理支援基盤システム「T-iDigital Field」を連携させた。2024年5月20日から6月29日までの約1カ月間、自動走行リジッドダンプ2台と、手動操作する建機と自動化建機が協調運転するためのHOGシステムを設置した遠隔操作油圧ショベル1台を使用し、オペレーター2人による最高時速約20キロの自動運転と遠隔操縦を管理。夜間作業時間帯に総量約4万7200トンに上るダム用骨材を運搬した。
運搬作業中に取得したデータは、施工管理支援基盤システムのデジタルツイン技術で建機の制御などにフィードバックさせた。遠隔操作と自動運転管理のオペレーター2人が施工状況を確認しながら建機を制御することで、協調運転による施工のオートメーション化を実現。同様の作業で従来は3人必要だったオペレーターを1人減らすとともに、制御室内からの操作や制御によって安全性や快適性も向上した。
無人化施工時に取得した運搬量や運搬効率、実運搬距離などのデジタルデータは、施工管理支援基盤システムのクラウド上でリアルタイムに収集、自動解析する。従来は1日約20分要していたデータ入力の作業が不要となり、過去のデータも簡易に検索、閲覧できる。遠隔からの作業進捗や現場の安全も確認できる。
同社はダムやトンネルなどの現場を念頭に、今後も複数台自動化建機の協調運転による生産性向上策を推進。複数台の自動化建機をよりスムーズに制御できるようなシステムの高度化も目指す。