◇外国人材の定着促進に補助
担い手確保や時間外労働の罰則付き上限規制の適用に対応するため建設業の働き方が大きく変わろうとしている。さまざまな課題解決に向けて東北6県の公共発注機関は、支援事業を相次ぎ打ち出している。特に生産性向上へバックオフィスの導入を支援するなど業界のDX推進が各県で活発化。若年層や女性の担い手確保とともに、人手不足の解決策として期待される外国人材の定着促進へ資格取得費用を補助する動きもある。
DX推進に向けては、福島県が約7000万円を2025年度予算に計上した。新たにバックオフィス導入に必要な費用を支援。2024年問題を踏まえ工事の生産性向上に加え、書類作成といった現場内勤業務でITツールなどの活用を促す。従来通り電子納品保管管理システムの改修や公共土木施設の各種情報を一元化するデータベースの構築などにも取り組む。岩手県も「建設DX推進事業」でバックオフィスのDXを進める。ICT機器の導入経費も最大で半額補助する。
担い手確保では、山形県が本年度から「建設業人手不足対策事業」として411万円を充当した。人材育成セミナーの開催に加え、県内建設会社に行ったアンケートで要望が多かった外国人材の定着促進へ資格取得費用を一部補助。女性のキャリア形成に向けた講習会も開くなど多様な人材の確保・育成につなげる。青森県は「未来の担い手・建設業魅力体感事業費」で、小・中学生への職業体験や高校で課題研究授業などに力を注ぐ。
全国でも人口減少が顕著な秋田県では、引き続き「建設産業魅力発信事業」を推進する。主に▽未来を創るコンストラクター育成支援=学校や企業・団体と連携した出前説明会、企業の経営者向けセミナーなど開催▽建設産業イメージアップ推進=小中学生等を対象としたインフラ資産の社会見学など実施▽人材確保対策加速化支援=業界団体が行う技術者育成、離職防止・定着促進、女性活躍促進費用の補助-などに取り組む方針だ。
宮城県は、地域建設産業災害対応力強化支援事業を継続する。地域建設産業が取り組む防災体制の構築や災害対応力強化に向けた費用の一部を負担する。加えて、4月からは業界の振興に向けた「みやぎ建設業振興プラン」に基づいた施策を展開。新たに若手の奨学金返還や資格取得費用の一部支援や外国人労働者とのマッチングイベント開催、現場とバックオフィスの分業を推進など、業界のイメージ向上につながる案を列挙している。