空調設備工事13社25年春の採用計画、新卒の目標人数確保は7社/本紙調査

2025年3月21日 企業・経営 [3面]

文字サイズ

 空調設備工事会社13社の今春(2025年4月)入社の新卒採用数は合計870人となり、前年実績比で154人上回る見込みだ。全体では9社が増加。7社が目標人数を確保し、全体の充足率も上向いた。100人以上の採用は3社だった。技術系は725人と前年実績比で159人増。慢性的な人手不足を背景にした「超売り手市場」(大手空調)を踏まえ、各社は人材獲得へ認知度や内定受諾率の向上に注力する。中途採用の重要性も高まっており、採用活動は新卒、中途の「二正面作戦」の様相を呈する。
 アンケートは1~2月に実施した。今春の入社見込みで最多の高砂熱学工業は131人(前年比4人減)を採用。23~26年度に社員を200人以上増やす中期経営計画に基づき「今後も同水準」の採用規模を計画する。次いでダイダンが120人(34人増)、大気社が109人(29人増)を受け入れる。
 新卒採用では少子化などに伴い、各社は母集団の形成に苦慮する。来春(26年4月)の新卒採用計画数には全社が回答し、合計899人の採用を目指す。特に高専卒には「目的意識が高い学生が多い」(三建設備工業など)と多くの社が熱い視線を送る。来春の採用者数を「増やす」とした日比谷総合設備は大手の採用強化を踏まえ、インターンや説明会への集客と内定者の辞退防止を重視する。
 若手・中堅層を補うべく、中途採用も活発化してきた。24年度は全13社が計355人(前年度実績比66人増)の採用を見込む。25年度は7社が増やす方針で、「コミュニケーション能力」(ジョンソンコントロールズ)、「DXなど高度な専門性」(朝日工業社)に期待する。社員紹介の「リファラル採用」や、退職者を再雇用する「アルムナイ採用」を制度化する動きも加速している。
 新卒・中途採用ともに目下の課題は、社名の認知度向上だ。新日本空調は新卒向けに情報発信するメタバース空間を構築。高砂熱学工業は電車内モニターにCMを放映、大気社はSNS広告や動画コンテンツの拡充を図る。
 一方、終わりの見えない採用活動に人事部門からは悲鳴が上がる。新卒採用が「過剰なまでに早期化」(大手空調)しており、内定後のフォローや次期採用、中途採用を並行して進めることになる。中堅空調からは「人事部員の不足」「中途採用のスピード感に慣れない」といった声も聞こえてくる。国内の労働力不足を見据えた外国人採用も広がりつつあり、今後の採用活動はさらに複雑さを極めそうだ。