東京都/25年度予算案のTOKYO強靱化プロジェクト、地震対策に4486億円

2025年3月21日 行政・団体 [4面]

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 防災対策のレベルを上げる「TOKYO強靱化プロジェクト」を推進している東京都は2025年度予算案で、地震対策に24年度比84億円増となる4486億円を計上する。建物の耐震化促進のほか、延焼遮断の効果がある特定整備路線の整備などを進める。風水害対策では419億円増の1996億円を投じる。調節池を含めた河川施設の建設を加速し、浸水被害を軽減する。
 同プロジェクトでは40年代に▽地震▽風水害▽火山噴火▽電力・通信等の途絶▽感染症-の五つの危機に対応できるよう東京の強靱化に取り組んでいる。40年代までの総事業規模は17兆円で、このうち7兆円を23年度から10年間に投じる。
 地震対策では、緊急輸送道路の沿道に立つ建物の耐震化に30億円を充てる。1981年以前に完成し、道路をふさぐ恐れのある建築物が対象。耐震アドバイザーの派遣や耐震改修などに必要な費用をサポートする。
 市街地の延焼を遮断し、避難路にもなる都市計画道路(幅員15メートル以上)の建設には458億円を計上した。公園の整備や老朽建築物の建て替え促進などを展開する区市に対し、財政面で支援する「木造住宅密集地域整備事業」には16億円を確保。515億円を使い、無電柱化も推進する。
 風水害関連では、771億円を投じ中小河川の護岸整備のほか調節池、分水路の建設を継続する。
 地下河川の実現に向け、地下調節池を連結するトンネルの基本構造の検討に入る。複数の調節池を地下トンネルで連結し、調節池容量を相互に融通するネットワーク化に向けた調査も行う。
 内水氾濫防止に向け、下水道の幹線や貯留施設も造る。整備に当たっては浸水リスクが高い地区を「重点地区」に選定し、優先的に着手する。関連経費に356億円を計上した。
 富士山の噴火対策では火山灰にどう対応するかがポイントになる。主要交通網に降った灰の除却の迅速化に向けた防災訓練や、道路除灰マニュアルを策定する。噴火に伴って発生する土砂災害の被害軽減に向けたシステムも構築する。
 電力・通信を途絶させないため、地産地消型の再生可能エネルギー設備や蓄エネルギー設備の導入を促進。通信事業者による携帯基地局の強靱化も支援する。感染症対策では舟運など、交通手段の多様化を進める。