国交省/働き方改革モデル事業、試行成果を水平展開/現場外の施設・人員活用有効

2025年3月25日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は建設業の特殊性を踏まえた働き方改革を後押しする「働き方改革の実現に向けた効率的な建設工事の促進事業」のモデル事業で得た成果を水平展開する。公共工事と民間工事を問わず元下双方から提案を受け実施したモデル事業30件の事例集を作成。取り組み内容を▽現場ICT▽機能配置の見直し▽作業場・駐車場・宿舎など確保▽バックオフィス系システム-の四つのカテゴリーに分け、有効な個別事例を周知する。さまざまな現場のニーズに応じた対策の実行に役立ててもらう考えだ。
 モデル事業では建設現場の工程管理や元下間の調整に起因する課題の解決を目指した取り組みを実際の現場で試行する建設会社を募集。建設業で時間外労働の上限規制が適用する中、選定した各社の現場などで2024年末までに試行を終えた。23年度補正予算に基づき国交省が試行実施の掛かり増し経費を負担し、試行中に課題が生じた際の伴走支援に当たった。
 ICT機器や施工データの活用で現場作業そのものを効率化する取り組みが多く行われた一方、外部にオフサイト施設や補助人員を設けて現場を後方支援する仕組みづくりに取り組んだ事例も目立った。
 工事全体の後工程に位置し工期遅延のしわ寄せを受けやすい設備工事で、現場外に倉庫を借りて配管のプレハブ加工を施すことで現場作業工数の削減などを実現した事例がある。設備工事の元請目線では現場の工程に左右されにくい柔軟な資機材納入が可能になり、配管工事を行う下請の作業の平準化にもつながった。
 現場技術者の書類作成業務などの「建設ディレクター」への移管の効果測定に取り組んだ現場も多い。バックアップ人材を本社などに置き遠隔で複数現場を支援するため、ICTツールの導入と組み合わせた現場実証に当たる例もあった。
 事例集を参考にした取り組みを促すため、国交省は中小企業庁の「中小企業省力化投資補助金」や「IT導入補助金」を活用したデジタル機器やソフトウエアの導入を働き掛ける。25年度以降、個別事例を紹介する説明会開催も検討する。