選ばれる産業へ・3/千葉県生コンクリート工業組合理事長・勝呂和彦氏

2025年3月26日 選ばれる産業へ

文字サイズ

 ◇認知度高めるPR活動積極的に
 生コン業界は自分たちで需要を創出することが難しく、建設市場の動向などに左右される地域性の強い業種だ。需要が都市部に集中していて、房総半島の南に進むほど少なくなる。
 千葉工組全体の本年度の需要は、230万立方メートルの見通し。セメントや骨材などの資材高騰や施主の発注控えなどが需要減少に拍車を掛けている。
 建設需要は、マンションや倉庫関係の建設が県西部の海側で始まっており、北部の倉庫建設工事もピークは過ぎたが一定数あると見ている。
 北総地区で成田空港の滑走路延伸工事が始まり、需要回復に期待している。一方で、運転手不足によりダンプの手配が滞る事が懸念されるので同地域で使用する骨材の安定供給の面では不安がある。
 資材だけでなく、残コン・戻りコンの産廃処理費用も上がっている。産廃処理場のストックが過剰になると、受け入れてもらえなくなることも課題だ。残コン・戻りコンの有償化を実施しているが、期待通りの効果が出ていない。出荷後使用されなかった戻りコンの骨材を回収し洗浄したグリーン骨材(回収骨材)の有効活用も、発注者の理解やJIS規定の見直しなどにより利用拡大を推進していくのが今後の大きな課題と考えている。
 ゼネコンからはカーボンニュートラル(CN)の観点からグリーン骨材を使いたいという声もあるが、千葉県内のJIS工場で原材料として標準化している工場は1社しかなく、需要に限りがあるのも普及する上で課題。まずは、残コン・戻りコンを路盤材として多く消費できる環境を国や地方自治体に整えてもらいたい。
 若手人材の獲得も課題で、工組では4月中に青年部会を立ち上げる。工組の会員企業で経営に関わる可能性がある55歳以下の若手の入会を募った結果、25人のメンバーが集まった。青年部会が、若い人が入りやすい業界を作るためのコミュニケーションの場となることを期待している。
 千葉県内では、働き方改革や人材確保のために4月1日から完全週休2日制を導入する。また昨年、全国生コンクリート工業組合連合会らが主催した第17回コンクリート甲子園では、地元の木更津工業高等専門学校が初出場ながら好成績を収めた。このような活動の支援を継続し、若手人材獲得に向け生コン業界の認知度を高めるPR活動に積極的に取り組んでいきたい。

同一ジャンルの最新記事