横浜市/横浜港港湾脱炭素化推進計画公表、グリーンメタノールや中小企業金融支援など

2025年3月26日 行政・団体 [5面]

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 横浜市は25日、「横浜港港湾脱炭素化推進計画」を公表した。2050年の脱炭素社会実現を見据え、温室効果ガス排出量を全体としてゼロにするカーボンニュートラルポート(CNP)の形成を図る。グリーンメタノールを利用したコンテナ船燃料の脱炭素化や、中小企業も金融支援の対象とする「横浜港サステナブルファイナンス・フレームワーク」の創設など、全国の先頭を走る独自の計画となっている。
 市は22年8月に企業・団体、学識経験者、関東整備局らと横浜港CNP協議会(座長・橘川武郎国際大学学長)を立ち上げ、検討を行ってきた。計画の対象範囲は横浜港の臨港地区と港湾区域、みなとみらい21地区、金沢産業団地などを加えた臨海部。
 計画期間と目標値を短中期(30年度)、中期(40年度)、長期(50年度)の3段階に分けて設定した。市臨海部からの二酸化炭素(CO2)排出量は短中期が年間480万トン(13年比47%減)、中期が同240万トン(同74%減)、長期が実質ゼロ。ブルーインフラの保全・再生・創出によるCO2吸収量は、短中期が年間約150万トン、中期が同約200トン、長期が同約250万トンを目指す。
 市は港湾脱炭素化促進事業として42主体121事業を定めている(3月時点)。具体的な脱炭素の取り組みとしては照明、空調・熱源、生産設備などの省エネ化、発電機の更新、水素・アンモニア利用、次世代燃料バンガリング、合成メタン供給、脱炭素電力・燃料の使用、液化天然ガス(LNG)火力・石炭火力発電の水素利用、ブルーインフラの保全・再生・創出などを挙げた。
 CNPサステナブルファイナンス・フレームワークは、みずほ銀行と横浜銀行の支援を受け作成した。大企業だけでなく中小企業も含め、市が港湾脱炭素化促進事業として位置付けた取り組みの資金調達を金融面から後押しする。
 グリーンメタノールをコンテナ船燃料として利用し、脱炭素化を目指す取り組みは他港ではほとんど取り上げられていないという。東京湾沖合に建設予定の浮体式洋上風力の発生電力受け入れ拠点としての構想も検討する。