大阪大学が設計・施工一括(DB)方式で吹田キャンパス(大阪府吹田市山田丘)に建設を進めてきた「大阪大学・日本財団感染症センター」が完成し、24日に竣工式典が開かれた。コロナ禍を踏まえ、産学で感染症研究に取り組み、世界から知見と人材を集め教育・情報発信を行う施設。設計・施工は大成建設・日建設計JVが担当した。工期は2023年9月~25年2月。基本計画策定支援は明豊ファシリティワークスが担当し、建物のデザイン監修を建築家の安藤忠雄氏が手掛けた。
感染症センターは日本財団(笹川陽平会長)と全国モーターボート競走施行者協議会(高野律雄代表理事)の助成を受けて整備した。規模はRC造(免震構造)10階建て延べ1万7619平方メートル。安藤氏の「世界中の優秀な研究者が集結し感染症問題に取り組んでほしい」という思いから、「宇宙船地球号」をイメージした楕円(だえん)形の建物形状が特徴。外壁に100段のアルミダイキャストルーバーを採用したほか、延べ1万平方メートル以上の新築研究棟では国立大学で初となるZEB Ready認証を取得した。
同センターは感染症の基礎研究を行う感染症総合教育研究拠点(CiDER)と、応用・臨床研究を行うワクチン開発研究拠点(CAMaD)のほか、4~6階に民間研究機関などが入居する。7階は高性能分析機器を集積した共用実験室とし、7~9階の吹き抜け空間に協働を促す「共創スペース」を設置。感染症総合知のハブとして、社会課題の解決を目指す。
式典には関係者や来賓など約100人が出席。大阪大学の西尾章治郎総長は「感染症対策の国際的な研究・人材育成の拠点となることを目指していく。わが国の感染症研究の開拓者である緒方洪庵が開いた適塾の精神を受け継ぎ、学問の垣根を越えた英知を結集し、人類の健康と幸福に貢献したい」と話した。安藤氏は「この施設が世界中の研究者の出会いの場になり、感染症研究を世界に発信し続けてほしい」と語った。
最後にテープカットを行い、施設の完成を盛大に祝った。