セメント関連3社25年春の採用計画31人増加、全社が目標に届かず/本社調査

2025年3月26日 企業・経営 [3面]

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 日刊建設工業新聞社がセメント関連メーカー3社を対象に実施した人材採用アンケートによると、4月の新卒総数(大卒、高卒などすべてを含む)は200人で、前年度実績から31人増加する見通しだ。売り手市場に伴う母集団形成の苦戦や生産現場を志望する学生の減少などを背景に、3社とも採用目標人数には届かなかった。2社が2026年度も定年退職者の補充などを勘案し採用者数を増やすと回答した。
 太平洋セメントは93人の新卒を採用する予定。採用人数は今後も増やす方針だが、機電系など特定系統採用が難しくなっていることに加え、転勤や入社後の配属が希望通りになるか分からない「配属ガチャ」を忌避する学生の増加を課題に挙げた。
 住友大阪セメントは65人の新卒を採用し、毎年の必要数として設定している60人をクリアした。半導体関連事業の拡大とカーボンニュートラル(CN)関連の新規事業の立ち上げに備える。一方、総合職と地域限定職ともに工場などの生産現場を志望する学生の減少が目標人数の達成への課題になっているという。
 UBE三菱セメントは前年より20人多い42人を採用する予定だ。技術職の採用にはオファー型のスカウトサービスを活用した。採用活動をさらに強化するため、会社概要や若手職員による座談会などをまとめた動画も作成する。
 25年度の中途採用目標に関しては3社とも未定と回答した。太平洋セメントとUBE三菱セメントは今後も中途採用者を増やす方針。横ばいと回答した住友大阪セメントも事業拡大を担う人材の確保を図る考えだ。
 定着率向上に向けたきめ細かなフォローや待遇改善にも注力する。各社とも若手や新入社員を対象とする研修や面談などを実施。太平洋セメントは3年連続で4月入社の新卒採用者の初任給を引き上げる。エリア非限定職種は大学院修了で3万7000円増の32万円、大卒は30万円の大台に乗せた。UBE三菱セメントも、2年連続で初任給を引き上げる予定だ。