2023年度の国内建築用木材の自給率が半世紀ぶりに50%を上回ったことが、政府の集計で分かった。総需要約2926万立方メートルに対し、国内生産量が55・3%に当たる約1618万立方メートルとなった。政府は4階建て以上の中高層建築物の木造・木質化を促すため、建築基準法の構造規制を4月に緩和するなど木材利用促進策をさらに展開する。
農林水産省ら関係省庁でつくる木材利用促進本部(本部長・江藤拓農水相)が26日に東京都内で会合を開き、「建築物の木材の利用の促進に向けた措置の実施状況」を取りまとめた。国と建設関係団体や民間企業などとの「建築物木材利用促進協定」は24年12月末時点で、大成建設グループや安藤ハザマ、前田建設、鹿島・かたばみグループなど25社・グループと締結した。協定に基づき木造・木質化した建物は632棟。木材使用量は計3万1453立方メートル、炭素貯蔵量は2万1207トン相当に上った。
24年度の木材利用状況を見ると、低層住宅は約8割が木造だが、低層非住宅は15・5%、中高層建物は0・1%未満にとどまり、非住宅分野の木造化は依然として進んでいない。同年度に完成した中高層木造建築の総床面積は約3・1万平方メートルだった。
同本部は、4階建て以上の中高層建築物を「積極的に木造化を促進する公共建築物」に追加。国土交通省は建築基準法を改正し、防火規制を24年4月に緩和。構造規制は4月に緩和する。林野庁と共同で木造4階建ての事務所や共同住宅をモデルにした構法と部材供給の枠組みを26日に公表した。法令、基準などの面での木質化促進の環境づくりを進める。