鹿島/覆工全自動打設多様な現場で対応可能に、流動化コンクリでコスト低減

2025年3月28日 技術・商品 [3面]

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 鹿島は建設現場で流動化させる低コストの覆工用高流動コンクリートを開発し、既存の「全自動トンネル覆工コンクリート打設システム」と組み合わせる形で実工事に初導入した。生コン工場で製造したスランプ15センチ程度の普通コンクリをベースに新開発の現場添加型混和剤を用いて流動化させ、工場製品と比べ製造コストを大幅に低減する。現場流動化の高流動コンクリを組み合わせることにより、さまざまな施工条件や断面のトンネル工事に対応可能な全自動打設システムを構築した。
 初導入したのは中日本高速道路会社が建設する「東海環状自動車道養老トンネル南工事」(三重県いなべ市)の現場。現場での流動化によって締め固めを不要とする高流動コンクリの製造コストを低減し、全自動打設システムの省人化効果を最大化する。
 新開発の覆工用高流動コンクリは工場製品と同等の品質を確保。既存の覆工コンクリ用繊維投入機に混和剤の自動添加装置を組み合わせ、混和剤と繊維をベースコンクリに同時投入する仕組みとした。添加率を基に自動計量された混和剤はタンクからノズルを通してアジテータ車に投入。その量は自動で記録され、計量や投入、管理の作業を省力化する。
 全自動打設システムは2020年に開発した。これまでに覆工用高流動コンクリから中流動コンクリまで導入範囲を広げ、3車線の大断面トンネル工事2件に導入。現場で流動化させる高流動コンクリと組み合わせた今回の現場では2車線の標準断面トンネル工事に導入したことで、あらゆるニーズに対応できる同システムが完成した。
 今後は新開発の高流動コンクリ導入を推進し、施工のさらなる合理化を目指す。