神奈川県三浦市と興和グループは28日、「三崎漁港(本港地区及び新港地区)海業振興を目指す用地利活用プロジェクト」(新海業プロジェクト)の基本協定を締結した。三崎漁港の漁港施設を貸し付け、商業施設などのにぎわい機能を整備する計画。6月末をめどに事業計画などを作成し、2026年3月までに事業契約を結ぶ見通し。27年秋ごろにも既存施設のリニューアルや複合施設などの工事に着手し、33年ごろの全体完成を目指す考えだ。
24年5月に公募型プロポーザルで、興和グループを優先交渉権者に選定した。構成メンバーは興和と興和紡、興和地所の3者。基本協定を締結したことから、興和グループは計画の具体化を急ぐ。既存の集客施設のリニューアルと新たな商業、宿泊、居住、スパ施設などを整備する計画。地域の歴史や街並みなどを生かしながら、年間300万人規模の集客を目指す。新たな施設は延べ4万~5万平方メートル規模を想定している。
同日、市役所で吉田英男市長と興和地所の来海忠男社長が協定書を交わした。吉田市長は「うらりマルシェの大規模改修や新たな集客施設の整備など、市単独では難しい事業。公民連携で地域活性化を図りたい」と期待を寄せた。来海社長は「昭和の風情を残した三崎の街並みにはポテンシャルがある。昼間人口を増やし、夜のにぎわいにもつなげたい」と展望を語った。
事業用地は三崎5の167の11ほかの準工業地域計3ヘクタール。神奈川県が2・6ヘクタール、残りを国と三浦市が所有する。市との基本契約締結後、30年を上限に貸し付ける。事業用地内で営業中の産直施設と市民ホールを併設する複合施設(うらりマルシェ)や、三崎まぐろ加工センターなど既存施設の今後の在り方や管理運営手法なども、事業計画で具体化する。
来海社長は「建設資機材高騰などの課題もあるが、施工では地元業者が参画できるスキームづくりなども検討したい」とコメントした。