新社長/大林組・佐藤俊美氏、社員の自己実現をグループの成長に

2025年4月1日 人事・動静 [1面]

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 2026年度を最終年度とする中期経営計画を新体制で着実に推進する。事業環境の変化に迅速に対応できる体制構築を最重要課題と捉える。国内建設事業を中核とし、それ以外の事業で国内建設事業と同等以上の業績を創出する体制を将来的に構築する。「社員とベクトルを合わせて企業成長する」と意気込む。

 --就任の抱負を。
 「大林グループの企業理念と精神を承継し、グループの持続的な成長を図る。技術面、ビジネス面でイノベーションを起こし、建設事業の生産性向上や新事業開拓に挑戦していきたい。持続的な成長とは何か、スローガンである『つくるを拓く』の意味は何かを具体的に示し、グループに共有していく。エンジニアを中心に優秀な人材がいる。国内建設事業を中核に活躍の場が大林グループにはある。社員の自己実現や成長をグループの成長につなげたい」
 --事業環境をどう見る。
 「収益改善が進み、業績は堅調に推移していくだろう。中期経営計画(22~26年度)の数値目標は達成できそうだが、計画策定時に想定していた事業環境とは全く様相が変わった。データセンターや半導体関連施設などの建設需要も拡大し続けるわけではない。市場変化にいかに迅速に対応できるかを考える必要がある。事業環境の変化に対応できる体制を建設、非建設の両領域で構築するシナリオ作りに着手している。同時に成長戦略を描くためのプロジェクトを立ち上げ、次期中期計画に向けて議論を始めた」
 --経営方針は。
 「水やエネルギー、食、廃棄物など社会課題の解決につながる領域に事業機会がある。グループの技術力と総合力を生かして社会に貢献するため、中核である建設事業のサプライチェーン(供給網)も含めた供給能力向上と、新領域を担う人材戦略を具体的に描き、他社との差別化も視野に戦略を策定する。再生可能エネルギー事業は戦略を大きく転換することになるだろう。ブラウンフィールドを含め、再エネ市場のどこに関わっていくかを検討する。さらに施工側で二酸化炭素(CO2)排出量の削減に貢献できる技術開発も継続的に行う」
 「海外分野は、未進出の地域や事業領域に事業機会があれば取り組む。北米地域は、直近で23年に買収した水処理関連の建設会社をはじめ、複数子会社が収益面で貢献している。各社で成長戦略を描くが、個別最適が本当にグループの全体最適になるかを考える。一方、国内は建設周辺領域を含め、社会課題の解決による顧客提供価値の向上や持続的成長を創出する事業機会があれば、企業のM&A(企業合併・買収)も手段の一つとして検討していく」。
 (4月1日就任)
 (さとう・としみ)1985年早稲田大学政治経済学部経済学科卒、大林組入社。2013年財務部長、15年経営企画室長、17年執行役員、18年取締役、19年常務執行役員、22年専務執行役員、23年副社長執行役員、24年代表取締役。学生時代は野球に明け暮れた。趣味は野球観戦。妻とユニホームを着て応援している。神奈川県出身、64歳。