2025年度を迎える1日、建設関係の法令や政策による新しい措置が講じられる。改正建築基準法・建築物省エネ法が全面施行となり、同日以降に着工するすべての建築物は原則省エネ基準に適合することが義務化される。労働安全衛生法に基づく省令改正に伴い、危険箇所の作業に従事する労働者以外の人や、作業を請け負う一人親方などの保護が事業者に義務付けられる。雇用・労働関係は、柔軟な働き方や育児支援などが促される。
建築物の省エネ基準適合は、新築の住宅・非住宅すべてで義務付けられ、建築確認手続きの中で基準への適合性審査が行われる。政府の脱炭素政策の一環。建築確認、検査対象の見直し、審査省略制度(いわゆる4号特例)の縮小が措置される。小規模住宅の省エネ計算などの業務の増加が想定され、国土交通省は「建築士サポートセンター」を1月までに全都道府県に設置するなど施行に備えてきた。
入札契約関係は、予定価格が少額な場合に選択できる国の「少額随意契約」(少額随契)の基準が引き上がる。物価上昇を受けた措置で、少額随契を選択できる工事は対象の予定価格250万円以下を400万円以下に見直す。直轄土木工事は、土日休みの完全週休2日に対応した労務費や経費の新しい補正係数が適用になる。共通仮設費に率計上している現場環境改善費から避暑・避寒対策費を切り離し、現場の環境に応じた対策費を積み上げ計上できる。
改正物流効率化法・貨物自動車運送事業法の一部規定の施行により、荷主・物流事業者に物流を効率化するための努力義務が課される。トラック事業者は、運送契約の締結時に提供役務、対価を記載した書面交付などが義務化される。
雇用・労働関係のうち、労働安全衛生法の省令改正では、事業者が講じる危険箇所への立ち入り禁止、搭乗禁止、立ち入り可能箇所の限定、悪天候時の作業禁止の措置などが労働者以外の人も対象となる。下請業者や一人親方に保護具を使う必要があることの周知も義務になる。重層下請では、上位の下請業者が下位に対して必要な措置の義務を負う。事業者がすべての作業を請負人に請け負わせた場合、事業者は注文者の立場となり、措置義務の対象にはならない。
就業・育児では、両親が14日以上の育児休業を取得した場合、既存の育児休業給付と合わせて手取りの10割相当を出生後休業支援給付金から受給できる。看護休暇の対象となる子どもの年齢が現行の小学校就学前から小学校3年生までになり、男性労働者の育児休業などの取得状況を年1回公表する事業主の範囲は、常時雇用300人超の事業主にまで拡大される。