政府の国土強靱化推進本部(本部長・石破茂首相)は1日、2026年度から5年間の「第1次国土強靱化実施中期計画」の素案を決定した。関係府省庁が積み上げた324施策のうち、「推進が特に必要」な116施策の事業規模を5年間で「おおむね20兆円強程度」とした。資材や人件費の高騰分を予算編成過程で別途計上することも明記した。事業規模には当初予算計上分がさらに加わることになる。同中期計画は6月をめどに閣議決定を目指す。
素案は計画期間中に実施すべき5分野324施策と、このうち「推進が特に必要な施策」の116施策を示した。おおむね20兆円強程度は、116施策の加速、深化に追加的に必要な事業規模としている。推進が特に必要な施策として、上下水道システムの耐震化や、流域治水の推進、生活基盤となる住宅などの耐震化、密集市街地や地下街などの耐震化と火災対策推進などを挙げた。
資材価格や人件費の高騰は「予算編成過程で適切に反映する」とした。内閣官房によると、現行の5か年加速化対策に25年度予算で3000億円を計上した「国土強靱化緊急対応枠」のような仕様で措置されるという。324施策の当初予算分を考慮すると、全体の事業規模は20兆円強を大きく上回る可能性もある。
素案は「今後の災害の発生状況や事業の進捗状況、経済情勢・財政事情等を踏まえ、機動的・弾力的に対応する」と明記。「事業の進捗管理と財源確保方策の具体的な検討を開始する」ことも盛り込まれた。
同日の会合で、石破首相は「切迫する巨大地震や激甚化・頻発化する大規模自然災害による被害を軽減、回避するためにはインフラ老朽化対策を含めた国土強靱化のペースを緩めることなく、着実に推進していかなくてはならない」と決意を示した。石破首相は施策、目標を精査し6月をめどに策定を指示。素案は近く一般からの意見聴取に入る予定だ。